感情(情動)とマネジメント

とあるmixi日記を読んで反応。
HBRを読んでいると、マネジメントにおいて理性だけでなく感情も、重要なテーマであることは、すぐに気づく.
いくつかを、あまり結論がだしずらいように並べてみる

理論(理性)偏愛のアンチテーゼで感情重要という形をとっているタイプを3つだけ紹介

  • 脳神経学の分野では、アントニオ・R・ダマジオが、意思決定-行動の過程について、理性だけでなく情動が重要な役割をもっていることを脳を損傷した人の行動を観察することで仮説を出している.
  • 行動学派:いわゆる生産性向上にはモチベーション重要という仮説.ソフトウェア業界では、アジャイル活動の文脈で知った人も多いみたいだが、産業界全体では、1920年代30年代のホーソン実験で、すでに触れられており、その歴史は長い.
  • ストーリーテーリング:狭義にはプレゼン手法の1つ。論理的な数値では人は理解はできても行動は起こさない.感情にうったえれば人は動くという仮説のもとストーリーテーリングの方法まとめている.ストーリーはバラ色人生というよりは、葛藤の克服を率直かつ正直な言葉でまとめられたもの.

感情(情動)偏愛のアンチテーゼの形をとっているものを3つだけ紹介

  • 心理学の認知バイアス:人はさまざまな認知バイアスがかかって合理的な意思選択ができないという仮説.例えば、私がアジャイル開発、ファシリテーションに好感を持てば、それを裏付けるものを好んで探して学習し、それに批判的なものには目を背ける傾向の行動特性を人は持っているというもの。(逆にこの認知バイアスがかかる限定合理的な人間モデルを基盤にシステム系をモデル化することが重要という仮説もある.
  • EQのSQの絆重視の批判:共感の行動に偏り過ぎると、コンセンサスに偏り過ぎ、対立が過小評価され、良い結果を創れないという仮説.過激なタイプは、部下に共感しないスキルをもった「鬼上司」のふるまいが、現場に対立を生み出し、創造的かつ生産的なカオスの縁を創りだすという仮説.ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブなど有名人の中で癇癪もちリーダーは有名.本屋で「鈍感力」なんてのも並んでいる.タイトルから想像するに、共感力のアンチテーゼだろう.
  • ゲーム理論:有名な囚人のジレンマ.二人とも黙秘が合理的な選択で価値が高いはずなのに、相手の裏切りを恐れて、裏切って平凡な解にたどり着いてしまう.コレと同じようなことが、現実でもあり、安易に選択するのではなく、ゲーム理論に従って意思決定したほうがより良い解にたどり着けるという仮説.合理性重要のタイプは大抵このゲーム理論と同じような構図で論理重要を説明する.


感情と理論の統合に関する研究は、発展途上の神経学、脳科学などがキーとなると思われる.