わかる「時間」

はじめにが秀逸

はじめに


日常生活で、「時間」について疑問を思ったり不思議に感じたりすることはあまりないでしょう。ところが物理学の世界で、時間というものを厳密に考えはじめると、それはとらえどころのない、簡単に説明することが非常にむずかしいものになります。


相対性理論によると、時間の進み方は一定ではなく、運動や重力によって伸縮するそうです。この現象は、ごく精密な観測によって、実際に確認もされています。また、ニュートン力学相対性理論では、時間の進む向きを区別できない理論になっていますから、本来は過去と未来を区別できないのです。


時間の伸縮や、過去と未来を数式でうまく区別できないとうことに、日常生活で気づくことはありません。そして、とくに問題でもありません。しかし、あらためて「時間とは何か?」と問われると、誰もその正体を答えることができないのです。時間についての常識が、私たちの思いこみによるもであることに気づかされます。


時間とは何か。時間についての問題は興味深く、答えが知りたくなります。本書は、時間について、さまざまな角度から紹介した1冊です。どうぞお楽しみください。

2009年8月
水谷 仁

ゲーデル一般相対性理論を使ってタイムトラベルに言及していることを、この本で知った。