部分と全体

学習する組織のなかで出てきたので読んでみた。会話のレベルたけぇ。ボーアやアインシュタインなどこの近辺で有名人との対話が出てくる。シュレデンガーが熱で寝込んでいるのにボーアがそれでも会話をやめない逸話は、「もうやめてー。シュレのライフは0よぉ」と突っ込みたくなる。量子力学の周辺は集団で動いていたのは知っていたが、このグループはかなり深い対話を重ねていた模様。

量子力学の分野はその研究対象の性質上、それ以前にあった既存の科学の枠組みの前提を見直すことが求められていた。今まであまり意識されてこなった前提に意識を向けたり、何か新しい考えがどのように形成されるかの会話のやりとりの過程の雰囲気が伝わってくる。会話が難しくて、ふりきられるんだがなw

科学分野において、枠組みが変化してく話は、科学革命の構造宇宙創成(上) (新潮文庫)宇宙創成(下) (新潮文庫)を合わせて読んでおくとよい。

戦争の話も出てくる。著者のハイゼンベルクがドイツ側の陣営で原爆開発に関与していたこと、ハイゼンベルクの友人が偵察機に乗って帰ってこなかった話など、当時の暗い陰の話も出てくる。


対話を重ねるとは、いったいどういったことなのかに興味がある人にはおすすめの本。


部分と全体―私の生涯の偉大な出会いと対話

部分と全体―私の生涯の偉大な出会いと対話