知覚の哲学

知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫)

知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫)

すんげー面白い。ひさしぶりに読書に熱中した。メルロ=ポンティの本は、これが3冊目。メルロ=ポンティについて知りたければ、これをまず手にするのが良さそうだ。訳者の解説がたくさんあり、とっつきやすい。

普段はあまりやらないのだが、今日はこの本を、理矢理、他分野と紐づけながら、ごりおしで「良い本だよ」と声を大にして記述してみる。

UX

デザイン系を勉強していると、フィールドワークで現地に赴いて、肌で感じ取って(例えばスーパカブを輸出先と考えている都会の道で乗り回す)。。。のような事例は読んだ事があると思う。おそらくこのアプローチに影響を与えたのは、文化人類学のフィールドワークで、 その前は 現象学である。そして、この本は身体性を伴った現象学を扱っている本である。「現場のコンテキストの中で、肌で感じ取るっていったい何なんだろう!?」と思ったら、この本はおすすめ。

TDD

私はTDDを理解するのにすこし遠回りをした。UX系が用意している体系は、TDDを理解するのにすごく役立つ。
プログラマが、Test Code, Production Code, テスト実行結果のレポートとインタラクションをしながら、プログラマはいったい何を感じ、どんな次の1手の行動が誘発されるのだろうか?どうして、この身心の運動が継続するのだろうか?この運動を続けると、どうしてClean Codeが形成されるというのだろうか?TDDがいうところの創発的な設計っていったい何なんだ!?」と疑問をもったことのある人は、この本は何かヒントをくれるはず。

オブジェクト指向ーメッセージパッシング

オブジェクト指向プログラミングはいったん忘れて、オブジェクト指向の考え方で 「プログラミングシステム」を主題にすえて考えてみてほしい。プログラマ、キーボード、ディスプレイ、プログラミング言語、コード、テスト実行結果レポート等々がオブジェクトに相当するだろう。プログラミング システムは、これらのオブジェクト間のメッセージのやりとりでプログラミングできるわけだ。

  • ダーティコードオブジェクトと私オブジェクトが相互作用したら何がおきるのだろうか?
  • クリーンコードオブジェクトと私オブジェクトが相互作用したら何がおきるのだろうか?

個々のオブジェクトが自立的自律的協調的にメッセージをやりとりして、秩序が形成されるプログラミング観がオブジェクト指向の考え方から導かれるだろう。この本は、このような メッセージパッシングの世界観に何かヒントをくれるはずである。

パタンランゲージ

この本は、言語観に深く関る。パタンランゲージは「言語」を扱っている。本家のパタンランゲージを読むと、住む人の感覚と建築物の形の密接な関係性が描かれているのに気づくだろう。(いくつか声に出して読んでみて、自身の身体的(心理的)な変化を感じ取ってほしい。かつてゲーテが、色彩と人の生理的心理的変化の深いつながりを描いたように、かたち と ひとには深いつながりがあると考えられる)
この本は、言語観を再考させてくれる一冊であり、パタンランゲージ再考にうってつけの一冊である。
(人々が世界を一歩引いて客観的に(会話|記述)する言語観ではなく、人々が主客を交えて(会話|記述)し、世界に関り合っていく言語観。)

ファシリテーション

タスクボードやバーンダウンチャートやチームメンバーと私のインタラクションががががが

SECI(セキ)プロセス

野中先生は、いくつか メルロ=ポンティを引用している。SECI(セキ)プロセスを理解するのに重要なキーファクターなのだろう。共同化、内面化、表出化、結合化、特に共同化の理解に役立つはず。