「アジャイルが存在する空間はどこ?」

現在であればおそらくこの質問に対する回答は、アジャイルを強く支持する開発者が、開発現場にアジャイル開発を導入しようとしている(あるいは導入した)空間をさすであろう。
アジャイルには、開発者がソフトウェア開発に熱中することへナビゲートしてくれる力がある。


誤解を恐れずに言うならば、ここに、現時点のアジャイルの問題点が見え隠れする。今のところ私の周りで、マーケティングの人や顧客やエンドユーザが開発者と同じように、アジャイルを熱烈に支持し、熱く体験談を語っている話はあまり記憶にない。


このアジャイル熱の温度差が意味するところは、現在のアジャイルの偏り、閉鎖性を象徴してる。閉鎖的であると開発者同士で集まるとすぐにシンクロして専門性で熱くなれるプラス面もあるが、逆に周りと離れ一般性がなくなり島国根性のようなマイナス面を生み出す状況をつくり出してしまう。専門化より一般化を好む私としては、危惧する状態である。
ただ、悲観しすぎる事はない。XP2ndで、この閉鎖性を突破しようとする動きがみられる。Kent Beckの初期のパタン活動も専門語ではなく共通の語彙を創りだし、ソフトウェアの創造をユーザに解放開放しようとするものであった。


もう一度、はじめの質問にもどる。「アジャイルが存在する空間はどこ?」
将来この質問に対して、営業、顧客、エンドユーザ、開発者とソフトウェア(製品とサービスと経験)に関わるすべて人の仕事場にある、と私は答えたい。


営業、顧客、エンドユーザそして開発者が、アジャイルを具体的どのように「経験」するかをデザインしていく仕事に関われたら、それはとても面白い事だろうなと思う。


建築家が、自然と人々が集まり,人と人と建築物の間にインタラクティブなコミュニケーションが生まれ、何か面白い事がおこりそうな空間を創りだすように。

キーワード

アジャイル、パタン、経験、デザイン、空間的メタファ