野中先生の記事

一橋レビュー、ハーバードビジネスレビューに野中さんの記事があったので読んだ。

どっちの表紙も、野中先生。一橋レビューのほうはタイトルにそそられる。「イノベーションを持続するコニュニティをつくる」
かなりはしょった解説だと、人々が情熱を持って参加したくなるような「共通善」を見つけ、実践の「場」のコンテキストで「感情の知」を働かせながらメンバー同士で「実践知」を磨き、卓説性を追求し、一人一人の知を集結し研磨して「集賢知」を形成していくといった内容。


他に印象に残ったのは、「時間」の話。時計で測定可能で客観的な「時計時間」と個人や集団が心理的に体感する主観的,間主観的な「適時時間」。後者に着目せよと。「時間」というテーマは哲学では繰り返し上がってくるテーマで、ハイデッカーや木村敏の本でも語られていたので、すこし想像がつく。
野中さんと言えば、「場」が有名。私は今まで「場」を現場のコンテキストで人々が体感し学び合う間主観的「空間」とミスリードしていたが、人々が体感し学び合う間主観的「時空間」と読み直した方が良さそう。
(今のところ、アジャイルの文脈で主観的な時間論、空間論を熱く語っている記事は数件しか読んだ記憶はない。テスティングを「語る」上では、この時空間論は欠かす事が出来ない座視だと私は考えている。足がかりのヒントは「テスト熱中症」にありそうだ。テスティングに限らず、いかにして、「開発者が顧客がマネージャがソフトウェア開発に熱中していく場を形成するか?」のは興味をそそるテーマだ)

「集主観」「超主観」言葉が出てきた。「間主観」「相互主観」は聞いた事はあるが、知らんキーワードだった。

野中さんの提示する「知」は、「頭で考え、体を動かす」というよりも「『体で考え、頭を動かす』を繰り返す」を集団で行う感じがする。アリストテレスの影響なのか、メルロ=ポンティの影響なのかは、読み取りかねている。


野中さんの座視の「共通善」「場」「実践知」「集賢知」「時間論」を使って、ソフトウェア開発(とその周辺)のコンテキストに合うように読み直してみたい。