文学部唯野教授

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

久しぶりに、筒井作品。

この本、色々込み入った構図になっている。

私が気に入った構図は、作家と批評家の関係。通常、作家が小説を書いて、批評家がその小説をあるルールを使って批評するのが一般である。この小説の中では、主人公の唯野教授が小説の批評の作法を大学で講義している。批評家の批評の作法を批評する小説になっている。

何か(例えば、カクテル、ソフトウェアづくり)について語る(批評する)ということに興味のある人は、おすすめ。

自分が何の作法を使って語っているのか(批評しているのか)は、普段無自覚に行いがち。
この小説を読み込めば、もう少し自覚的/上手に語る(批判する)力を鍛える効果が期待できる。