暗黙知の次元

暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)

暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)

再読。この本のロジックの出発点は、次。

私は人間の知を再考するにあたって、次なる事実から始めることにする。すなわち、私たちは言葉にできるより多くのことを知る事ができる。

知の形成について論じた本と言えばいいのかな。ここで指している「知」は論理的なことだけではなく、実践的ななことも含まれている。ある個体が環境との能動的なかかわり合い(コミットメント)を通じて、実践的な知と論理的な知が深まっていくようなイメージ像。


科学コミュニティについても言及が入る。
(科学)コミュニティが重視している価値判断の基準が、知の発展を阻害するケースがあることに触れ、知が発展してくためには、コミュニティが重視している価値判断の知も形成していくことが重要と読み取った。


「ベールに隠された知に近づいていくんだ。真理を解き明かすんだ」という著者の強い意志を感じ取れる、少々魂の熱い本になっている。